【書店塾】塾長による書店人のための「今日の一言」アドバイス&エッセイ。書店実務や店舗運営のヒント、業界用語や自己啓発の話、エッセイや書評。朝礼伝達や社員教育に使えるヒントが満載。【塾長ノオト】【書店塾ノオト】所収。書店人のための応援サイト【書店塾】(http://syotenjuku.okoshi-yasu.com/)の別冊ブログです。このブログの記事を基にメルマガ(パソコン用・携帯用)を発行中。
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j0222997.jpg昨年3店舗の新店をオープンしました。いずれも大成功で、グループ内でも1、2位を争う売上を上げています。そして今年は、今月1店舗を移転オープンしましたがこれも大盛況で、物件を探した開発担当としては内心ホッとしています。また4月にも移転オープンを予定しており、この不景気な時代に実に有り難いことで、出店戦略は順調だと思っていました。

ところが先日の会議で、30代の幹部社員達から暫く新規出店を抑えて欲しい旨の発言がありました。新規店は確かにうまくいっている。しかし、それは優秀な人材を投入して、全社をあげて販売応援をしているからうまくいくのは当然だ。一方で人材を抜かれた既存店は、ガタガタになってしまっている。これで会社として出店は成功だと言えるのだろうか。もちろん自分達も出店したいと思っているが、その為には今は人材を育成する時間が欲しい、要約すればこういう事でした。彼らの言い分にも一理ありました。

しかし、それを聞いた社長は激怒し、お前達はやる気が無いのか、そんな弱気でどうするのかと、顔を真っ赤にして興奮して机を叩いて怒鳴りつけました。感情的で精神論的な持論を展開していましたが、そのあまりの言いようについ口を出してしまいました。

なぜそんなに出店を焦る必要があるのか。私自身は無論出店したい。だが、彼らが抱いている不安は正直なところ私自身も感じている。彼らだって新店を出して会社を大きくしたいと思っているが、出店のペースが早過ぎるのではないか。今はガタガタになっている既存店を建て直し、人を育てる時間をくれと言っているだけではないか。100店舗のチェーン店が1年に3店舗出すのと、10店そこそこのチェーン店が3店舗出すのではわけが違う。既存店の予算達成がどうでもいいならいくらでも出店するが、あれもこれもは無理。本部で数字だけを見てとやかく言うのではなく、もっと現場に行って現実をきちんと見てから判断してもらいたい、と。ちょっと言い過ぎたかも知れません。

要するに、出店のペースに人材が追いつかないのです。今のペースで出店していけば、会社全体の売上は一時的に上がるでしょうが、一方で手から砂がこぼれるように既存店が落ち込んでいくのです。折角出店のチャンスが訪れているのですが、人材、特に店長の人材が足りません。今まで人を育てることを怠ってきたツケでしょう。このペースで出店するなら、少なくとも3年前から、計画的に人材育成に取り組んでおかねばならなかったのです。ましてや、自社はスーパーや書店のようなセルフ販売ではなく、接客販売の小売店です。売上は販売員によって大きく左右されます。有能な社員を抜かれるとたちまち店の売上は下がってしまいます。

出店したくても人材不足で出店できない。無理に出店すれば既存店が弱体化する。かと言って、人が育つのを待って出店しようとすれば、いつまで経っても出店できないし、店を増やさねば優秀な人材も採用しにくい。これは伸びているチェーン店に共通する悩みでしょう。先日たまたま、「日経ビジネスオンライン」の「小売業に夢を翔けて」というスーパー成城石井の大久保社長の連載記事を読んだところ、まさにこの事が指摘されていました。

「小売業を経営して、一番強く思うのは、人の成長なくして企業は成長しないということである。店舗を新規に出店すれば見かけ上の売り上げは増加していく。しかし、人が成長しなければ、売り場は乱れていく。人が成長しないのに出店数を増やし、店舗の管理レベルが落ちてお客様に喜ばれない売り場になり、業績が悪化していく小売業をたくさん見てきた。(中略)
 人が成長すればお客様に喜ばれる売り場になり、既存店の売り上げは増える。利益も拡大していく。そのうえで新規出店をしていくことにより、企業は成長していくことができるのである。」(抜粋引用)

先の会議では明確な結論は出ませんでしたが、出店は厳選していこうという方向になりつつあります。実は先日、条件の良い出店物件を一つ断りました。賃貸条件は破格でしたが、商圏人口にいささか不安がありました。私の出店の基準は、年商で最低2億円以上売れるかどうかです。年商3億の店にも店長は一人必要だし、年商1億の店にも一人要るのです。今、数少ない手持ちのカードを切ってしまえば、大きなチャンスが来た時に出店できなくなると判断しました。そしてそれは正解でした。すぐにまたもっと条件の良い物件が出てきているからです。焦ることは無いのです。

今の不況は逆に出店のチャンスです。物件の紹介は沢山ありますし、条件も下がってきています。開発担当としては、人材さえ居ればいくらでも出店できるのにと残念にも思います。しかし、トップのレベル以上の店や会社が作れないように、実力以上の会社は作れないし、無理な拡大戦略は危険です。身の丈以上の無理な出店を続ければ、いずれ会社の危機を招くことになるでしょう。人材の補給無しに闇雲に出店しようとするのは、昔の日本の「竹槍でアメリカと戦え」と言っているのと同じです。目標は努力すれば何とか到達できるくらいに少し高目に設定しなければなりませんし、器が人を育てるということも事実です。会社が成長するには多少の無理も必要でしょう。しかし一方で、「一歩後退、二歩前進」という言葉もありますし、時には頂上を目前にして引き返す勇気も必要だと思うのです。

827778a3.gifかかりつけのクリニックの先生から、絶版本を探してくれないかと頼まれました。以前にもそういう事がありましたが、今回は医学雑誌で紹介されていた本だそうです。5点中2点は手に入ったが、残り3点は版元品切れや絶版だったそうです。書名は次の通りです。

1.『死化粧』 渡辺淳一著 角川文庫 1975年
2.『「死の医学」への序章』 柳田邦男著 新潮文庫 1986年
3.『生と死の境界線』 岩井寛著 講談社 1988年

書店人ならば、これらの書名を見ればどの程度入手可能かは判断できるでしょう。1と2はすぐに見つかる筈です。有名作家の文庫本ですから、かなりの部数が発行された筈です。新刊では入手できなくても、中古市場には出回っていることでしょう。やっかいなのは3です。発行年月日は他よりも新しいのですが、残念ながら著者名に記憶がありません。単行本の初版は5000~10000部程度ですから、重版や文庫化されていなければ入手は難しそうです。

「まあ餅は餅屋ですから」と二つ返事で引き受けました。まずはネットで検索してみました。確かにいずれでも版元品切れか絶版です。古い本で「出版社品切れ」というのは、大抵の場合「絶版」と同義です。体裁の問題でしょう。Amazonで検索すると、『死化粧』と『「死の医学」への序章』は中古商品として、なんと1円で出品されています。配送料(340円)の方がはるかに高い。いよいよの場合はこれで注文するとして、まずは市内の中古書店を回ってみることにしました。

3の『生と死の境界線』はやはり難儀しました。新刊のネット書店はもちろん、古本屋のサイトを探しても在庫はありません。かろうじてヤフーオークションで見つかりました。現在の入札価格は2500円、締め切りは1日後、4000円なら即決とありました。とりあえず2600円で入札しておきました。驚いたことに1時間も経たない内に、誰かが2700円で入札してきました。ホントかいな。でも自分自身がどうしても欲しいという本ではないし、元々の定価以上の値段で買うのもどうかと思って、それ以上の入札は止めました。

休みの日に新古書店を3軒回ってみました。2軒目に行ったブックオフの105円コーナーで『死化粧』を見つけました。日を変えて別の古本屋で、『「死の医学」への序章』の単行本を見つけました。文庫(105円)も見つかりましたが、先生の年齢を考えて単行本(250円)を買いました。まるでセドリの気分です。そうそう、表紙を見て思い出しました。この本、確かにあったなあ、文芸書の棚に入れた覚えがある。新潮の常備だったはず、、、懐かしい旧友にあった思いがしました。やっぱり本は触って覚えるものです。スリップを抜いて挟み直し、棚詰めをするという一連の作業を通して本を覚えていくのです。

結局市内の新古書店と古本屋を8軒回ったのですが、新刊書店とは違う楽しさがありました。ともかくも安い。105円コーナーで掘り出し物が見つかったりします。そして何よりも、自分がかつて棚に並べた懐かしい本達に再会できるのです。少々くたびれていはいますが、それはこちらも同じこと。おまけに下手な新刊書店よりも明るいし、挨拶もできているし、棚もきちんと並んでいるし、売場の整理整頓もできている。残念ながら、負けている新刊書店の方が多いのはどうしたことでしょう。でもそれはまた別の話です。

さてさて、長い書店勤務の中で、何度も絶版本や品切れ本を探してきました。場合によっては、版元に連絡して応接室の書棚に飾っていた最後の1冊を譲ってもらったり、クレームになった本を直接著者に連絡をとって在庫から分けてもらったり、他所の書店に買いに行ったこともあります。当時に較べると、今は絶版本を見つけるのが随分楽になりました。大抵のものはAmazonなどのネットで入手できます。ともあれ、残る1冊『生と死の境界線』は気長に探すことにしましょう。意識していればいつの日か見つかるはずです。でもこれは新古書店では難しそうです。ここはやはり昔ながらの古本屋をあたってみることにしましょう。
 

7d79014f.jpg今回のマニュアル作りでは、「社員参加のマニュアル作り」ということを考えました。会社からのお仕着せではない、自分達で作る業務マニュアル。それが目標です。そもそも私は異業種(書店)からの転職組です。同じ小売業とはいえ、商品も違えば、セルフと接客販売の違いもあります。売場での体験もノウハウも持っていません。『書店塾』の文書を書くようなわけにはいかないのです。でもノウハウはすでに会社の中にある。私の役割は、それを集めて整理整頓し文書化することです。

まずは「接客・販売マニュアル」を作成するために、エリア長をメンバーとするマニュアル作成会議を開きました。プロジェクターを使って同じ画面を見ながら、お客様の入店から接客、商品説明、販売、配達、礼状書きまでの流れを整理し、それぞれに必要な項目、注意点などを思いつくままに挙げてもらいました。身だしなみ、挨拶の仕方、声のかけ方、売場への誘導、商品説明、クロージング、伝票の書き方、領収書と収入印紙、、、、等など。後日、それらの項目を整理し直してリストにしました。テーマは100項目を超えています。もう一度メンバーにフィードバックして、漏れはないか追加はないかをチェックしてもらいました。

これらは分類やテーマだけで、中身はまだほとんどありません。これを白紙の「マニュアル作成原稿」にテーマだけを印刷して、店長会で配布します。このテーマは○○店の誰それにお願いしようとか、この項目は誰にお願いしようとか、そのテーマが得意な社員(店長や販売主任、ベテラン社員)に割り振って、文書を書いてもらいます。B6カード1枚に1テーマですから、長い文書は必要ないし、箇条書きでも良いわけです。重要なテーマは抜けを防ぐために複数に依頼した方が良いでしょう。

集まった原稿はデータベースソフト(FileMaker Pro)に入力して編集し、再度会議で検討します。会議での承認を得た後、B6カード(2穴)に印刷します。1枚のカードに1つのテーマです。長くなる場合は2枚に分けます。それぞれのカードには、分類や作成日(更新日)と共に、原稿を書いてくれた社員の名前を原案者として記載します。自分の名前が残るマニュアル、会社が作ったお仕着せのマニュアルではない、自分達で作ったマニュアルです。

出来上がったカードをB6横サイズのリングファイルに収納して出来上がりです。追加も更新も簡単です。実情に合わなくなったカードを差し替えれば良いのですから。この方法で、他のマニュアルも作っていきます。「店長マニュアル」「配達マニュアル」「採用面接マニュアル」「販売事務マニュアル」、、、いくらでも作れそうです。カードではなく冊子が必要であれば、元はデータベースですから編集して必要な形で印刷するだけです。

マニュアルは作っただけではダメです。各店ではこれを新人の教育に使うと同時に、朝礼で使います。朝礼に項目を設け、順番に1日に1~2枚ずつも読み上げ、コメントを発表させます。そんなことは知らなかったとか、今更聞けない商品知識だったりします。いっぺん教えたからもういいやではなく、繰り返し巻き返し教えることが大切なのです。このマニュアルカードを朝礼教育に使うことで、物事を徹底し、オペレーションを統一することができるのです。くどいようですが、ノウハウは既に社内にあります。マニュアルはそれを文書化することです。そして大事なことは、マニュアルを活用して業務を標準化することです。

bs00263_.jpg今、「接客・販売マニュアル」の作成に取り組んでいます。1年以上も前にエリア長達に担当を決めて、督促もしていたのですが、一向に進みません。考えてみると、彼らは弁は立つし口では上手に説明できるのですが、それを文書化するということは苦手のようです。喋るのは得意でも、書くのが得意という人は少ないようです。

ノウハウが無いのではありません。店を営業している以上は、必ずノウハウはあります。そうでなければチェーン展開はできません。ただ、それが明文化されていないのです。簡単に言えば、ノウハウを文書化したものがマニュアルです。しっかりしたチェーン店や全国展開するようなチェーン店は、さまざまなマニュアル類を作成し、新人研修やFC展開に利用しています。しかし当社のような小規模のチェーン店では、見よう見真似や「口伝」で先輩から後輩へ伝承されているわけです。

なぜマニュアルが必要なのでしょうか。マニュアルを作るということは業務を標準化するということなのです。文書化されたマニュアルが無いと、店によって「方言」が生まれることになります。どの店も同じようなことをしているのだが、細かい部分が異なっていたりします。明文化されたマニュアルによって、各店のオペレーションを統一するということです。

チェーン店がチェーン店であるための条件の一つは、どこの店に行っても同一のサービスが受けられるということです。その為には、各店は同一のオペレーションで運営される必要があります。もっとも細部においては、店の作りや立地や社員の創意工夫で、少しずつ異なるかも知れません。しかし、できる限り標準化しようとする努力がなければ、社員が異動するととまどったり、時には同じ会社だろうかと思うことが起きてしまうのです。

多店舗展開していくためには、業務の標準化が必要です。そのためには、どうしてもマニュアルの作成と整備が必要なのです。昨年、「新入社員ハンドブック」というものを作りましたが、こういうマニュアルを一人で作るのは大変な作業です。おまけにマニュアルは作った端から古びていきます。会社も仕事も変化し続けているわけですから、それに合わせて更新していかないとすぐに陳腐化しますから、定期的な見直しや更新が必要です。何年も前に作ったマニュアルなど、現状に合っていない部分が多いものです。

そこで今回は、B6カードを使うことにしました。B6カード(京大型カード)とは、情報カードの一種です。名著『知的生産の技術』(梅棹忠夫著 岩波新書)で紹介されて普及したものです。パソコンが普及した今では、使われることが少なくなってきたようですが、これをマニュアル作りに応用することにしました。実際の作成作業はパソコンですが、各店にファイルを配っても恐らく見てくれません。活用されなければ意味がありません。現場では紙が一番です。作成はパソコンですが、完成品はB6カードという紙媒体です。何でもデジタルが良いのではありません。アナログにはアナログの良さがあるのです。

(続く)

『なぜ社長の話はわかりにくいのか』(武田斉紀著 PHP研究所)を読みました。この本を知ったのは、「日経ビジネスオンライン」の記事を読んでからです。「日経ビジネスオンライン」というのは、「日経ビジネス」の購読者専用のWEBサイトで、毎朝メールで配信されてきます。以前に「日経ビジネス」を1年間購読していたのですが、購読を中止した現在も送られてきています。

ちょっと横道に逸れてしまいますが、「日経ビジネス」は毎週送られてきて、いつの間にか積みあがってしまいます。内容はグローバル経済や大企業の話ばかりで、中小企業に働く我々とは無縁というか、世界が違う気がします。無理に背伸びして読むような雑誌ではありません。中小小売店には「日経ビジネス」よりも、月刊誌「商業界」の方が良いと思っています。

さて、本書は社長の話が分かりにくい理由は何かということで、社員の立場、社長の立場、企業理念の話など、読みやすいし内容的には面白いのですが、やや社長の自己弁護的な感じも受けます。経営理念を浸透させることを仕事としている経営コンサルタントの話です。話の内容もさることながら、他企業の事例や挿話が大変参考になりました。

「日経ビジネスオンライン」の記事と内容は同じで、わざわざ買うことは無かったかなと思ったのですが、記事を読むことができない方や単行本として読みたい場合はお勧めします。

j0335682.jpg1月も半ばとなりましたので、2月の棚替えを計画しましょう。店によっては、商品構成の変更とかゾーニング変更などと称しているかも知れませんが、要するに棚替え、売場の変更です。新学期に向けての売場変更であったり、実情に合わなくなった棚割りの変更でも良いでしょう。

注意すべきことは、棚替えは思いつきでやってはいけないということです。自分の売場のちょこっとした棚替えならば構いはしませんが、売場全体に関わる大幅な変更は、事前に計画を立て、販売データを調べ、図面を書き、上長や先輩同僚に相談しながら、協力を仰ぎながらやるべきものです。他部署にまたがるような場合は、担当者同士の棚の奪い合いになりかねませんので、店長が調整しなければなりません。

新人さんは先輩が作った棚を変えることに抵抗があるものです。でも何度も棚をいじることで、ようやく自分の売場になっていくものです。POSデータやスリップによって、どの棚が売れていてどの棚が動いていないのか、棚替えを計画するには、自分の売場をよく把握しておく必要があります。つまり、棚替えは自分の売場にしっかり目を向けさせることになるのです。

棚替えに限らず、事務所の席替えやレイアウト変更なども、安易にやるのは厳禁です。よくよく考えて、実行しましょう。やれと言われたからと、行き当たりばったりでやっていたのではうまくいくはずがありません。特に店長や管理者は、1+1=2ではなく、3にも4にもする事も考えなければなりません。こういう棚替え、席替えを利用して、部下のリーダーシップや実行力を育て、全員参加の意識を作るのです。そのためには、実行責任者を決める、ミーティングや打ち合わせをする、社員の意見を聞く、計画を立てる、その上で全員で作業をする。担当者それぞれに考えさせ、一緒に作業をすることで、職場のコミュニケーションや連帯感が生まれるのです。やれと言われてやるだけの仕事はつまらないし、効果はありません。

bd07179_.jpg責任感や当事者意識というものは、参加人数に反比例するようです。例えば朝礼や会議などで、参加者が増えれば増えるほど、一人ひとりの責任感は希薄になり、どこか他人事になっていきます。例えば、あなたが店長と2人だけの朝礼や打ち合わせで、指示や叱責されれば、それは「あなた」に対して言われていると思うはずです。しかし、参加者が増えるほど、それは「誰か」や「みんな」に言われているのであって、他人事のように感じてしまうのです。

自社では年初に、社長から今年の年度方針がメールや朝礼で何度も発表されました。それを聞いて、では自分の立場では何をすべきかと考えた人がどれだけいたでしょうか。つまり、自分の事として捉えた方がどれだけいたでしょうか。大半の人にとっては他人事だったのではないでしょうか。上の者がやるだろう、誰かがやるだろう、その内指示が来るだろう、、、

昨年、一昨年の年度方針を見直してみましたが、ほとんど実現できていませんでした。これでは正月恒例の「書初め」と一緒です。原因は、担当と期限を決めて、途中でチェックしていないからです。トップは言いっ放し、聞いてる方は他人事、忘れていた、これではうまくいくはずがありません。

「みんなで」とか「全社一丸となって」などというのは、トップがよく使いたがる言葉ですが、これらはたんに「口癖」か「枕言葉」でしかありません。よく新聞で見かける「各地で怒りの声が上がっています」的な常套文句、知らない会社からの電話に出る時の「お世話になっております」的な挨拶言葉でしかありません。

「みんなで」には「全員参加」という意味合いがあると同時に、「無責任」という危険性もあります。下手をすると誰も責任を持たない。例えば共同で使う休憩室やトイレの掃除、「みんなでやりましょう」とか「気が付いた人が」で、果たしてきれいに保てるでしょうか。「みんなで」やるのは理想ですが、現実には無理です。だから担当を決めなければならないのです。

仕事は、誰が、いつまでにやるということを決めることです。つまり、担当を決める、期限を切る。「みんなでやりましょう」というのは誰もやらなくて良いということです。「急がないから後でやっておいてください」というのは、やらなくて良いということです。責任の無い仕事、期限の無い仕事は遊んでいるのも同じです。

今年から予算管理を本格的に取り組むことになりました。これこそ、誰が、いつまでに、何をするかということです。○○店は、来年の期末までに、売上を○○円あげて利益を○○円出すということを決めて実行することですから。言い換えれば、予算管理とは計画的に仕事をするということです。

ところが、自社の一番苦手なのが、この物事を計画的にやるということです。もっともこれは、大抵の会社も同じですし、私自身も苦手です。物事をきちっと計画的にできる人は稀です。では、どうすれば良いでしょうか。くどいようですが、物事を計画的に行うには、「みんなで」ではできません。必ず担当を決めて責任の所在を明らかにすること、そしていつまでにするのかという期限を切ること、つまり「誰が」と「いつまでに」が絶対に必要な最低条件です。そして更に、それをチェックし督促することです。さあ今年は苦手に挑戦しましょう。

 

ac974c9a.gif明けましておめでとうございます。
今年も宜しくお願い申し上げます。

昨年3月に1年間の毎日更新を達成した後は、飛び飛びの更新となり、ついに12月は1回も更新する事ができませんでした。書く事が無くなってしまったわけではないのですが、書店現場を離れて3年半、現場感覚が無くなってしまい、話にリアリティが無いように感じられるし、どこか評論家的になりがちです。逆にだからこそ、書店を客観的に見ることができるようになったとも言えるかも知れません。他業界との比較という観点で、今暫く続けてみたいと思っています。

書店を取り巻く環境はここ数年劇的に変化しているようです。書店が不況に強いと言われたのは過去の話、今は書店が書店として成り立たなくなってしまったように思えます。日本有数の大手チェーン店が吸収合併されるという状況を見ると、従来の書店のビジネスモデルはもはや通用しなくなってきているのでしょう。

年末にはマスコミで、出版業界の売上が2兆円を切ったということが結構大きく取り上げられていました。記事として取り上げられるのは、出版業界がマスコミと隣接しているためでしょうか。しかし、記事にはならなくても他業界ではもっと激しい動きが起きています。今私の居る業界でも全体の売上が3割減~半減しています。売上は10年で半分になっているのです。安い輸入品による販売価格の下落や需要の減退もあるでしょう。メーカー、卸、小売の淘汰は激しいものがあります。あっという間に売上が半分になってしまうという事態、出版業界はまだそこまでは行っていないでしょう。

調子が悪くなったら原点に返れと言われます。しかし、原点に帰るとは決して昔に戻るという意味ではありません。「古人の跡を求めず、古人の求めしところを求めよ」ということです。「今日の革命は明日の常識」になるのです。よく「過去の成功体験が邪魔をする」と言われますが、書店業界においても同じことが言えるように思います。委託制度や再販制度に守られた従来のビジネスモデルにいつまでもしがみついていたのでは生き残ることは難しいのではないでしょうか。

どの業界でも自分の業界は不況産業だと思っているものですが、だから売れないと嘆く大多数と、だからチャンスだと売上を伸ばしている極少数が存在するのも事実です。変化に対応できるものだけが生き残れるというダーウィンの進化論は、ビジネスの世界でも当てはまるようです。ピンチをチャンスに変えようなどという希望的理想論の話ではなく、生き残る為には変わらざるを得ないという切迫感とそれを具体化していく実務能力と実行力が必要なのです。時間はもうあまり残されていません。

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出店する際に、不動産業者からの情報だけで決める事はあり得ません。事前に地図帳を調べたり、グーグルアースなどの航空写真を調べたり、商圏人口などの情報を調べるでしょう。そして、必ず現地に出向きます。現実は地図や図面とかなり違って見えます。百聞は一見に如かず、です。

「トヨタの口癖」と言われて社内で伝承されている語録集の中に、「三現主義」というものがあるそうです。それは、「三現主義(現地、現物、現実)。者に聞くな物に聞け。上司は現場を見なさい」です。TVドラマ風に言えば、「事件は現場で起きている」のです。

ところが、現場を見ていない上司が案外多いのです。例えば、赤字の担当者の売場を見ていない店長、店に行かないエリア長、店を回らない社長、、、店に行かない経営者は店舗を増やすべきではないでしょう。出店して後は放っておいたのでは、まともに育つはずがありません。現場を見ようとしないリーダーはリーダーの資格がありません。

こういう上司は、数字だけを見てああだこうだと言いがちですが、果たして統計表や報告書だけで、正しい判断が出来るのでしょうか。問題は店や売り場という「現場」で起きているのであって、数字はその結果を表しているに過ぎません。数字や報告で仮説や予測を立てることはできますが、それは地図や資料だけで物件を想像しているようなものです。

いつも店に居る店長は、自分では売場を見ていると思っているでしょう。しかし、「見る」ということは、店長室にこもって数字を見ている事ではありません。調子の悪い売場を自分の目で見て、棚に触って、担当者と一緒に原因を話し合い、解決策を取るということです。眺めているだけでは何も解決しないのです。

細かい品揃えなど分からないと言う声もあるでしょう。当然です。単品レベルでは担当者の知識にかなう筈がありません。そうではなくて、上司は担当者よりも一段高い視点で、原理原則の部分で売場や店を見なければなりません。赤字の売場を毎日30分でも触っていれば、必ず問題点が見えてくるものです。さあ、現場に行きましょう。

c942b2cf.jpg毎年同じようなことを書いているので、もう今年は書くまいと思っていたのですが、やっぱり合点が行かないというか、歯がゆい思いをしたので書くことにします。何のことかと言えば、「読書週間」です。

読書週間(10/27~11/9)にいくつかの書店を回ってみましたが、ブックフェアをやっているわけでもなく、それどころか店頭店内に「読書週間」という文字さえ見当たりません。折角、新聞やマスコミで読書の秋、読書週間と言ってくれているのに、肝心の書店が何もしていないのはあまりにもお粗末です。売れない店、売れない担当者ほど何もしないというのが、物事の道理なのかも知れません。

提案の無い店は滅びる、と言われてきました。品物があるだけで売れる時代ではありません。書店も決して例外ではありません。取次から自動的に送られてくる新刊や自動発注で入ってくる注文品を並べているだけでは売れなくなっているのです。

売れている店には「提案」があり「主張」があります。ブックフェアやコーナー作りという話だけではなく、商品の陳列方法や見せ方、アイキャッチャーやPOPも提案の一つです。売れていない店は殺風景です。それは入荷した商品をたんに「置いている」書店だからです。

いろんな事をやりたくてもシステム偏重で人件費を削られ、店売に余裕が無くなっているのかも知れません。今や書店に「作業員」は居ても、書店員や書店人は居なくなったのではないか、とさえ思えるのです。

入社当時の先輩から言われた言葉を思い出します。「この本を売りたいと思ったら、何かしなくてはいられないのよ」と。そして、置き場所を考え、陳列を工夫し、POPを書いていたのです。そう、本は置いているだけでは売れないのです。

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